10年ほど前にアマゾンで買った「欲望の旅路」フランソワーズ・サンペール著、手放すことにした。
訳者あとがきによると、フランスのポルノ小説を男性作家の手から女性作家の手へと奪い取ったのはアリーナ・レイエスとフランソワーズ・レイの二人の女流作家である。
中略
フランソワーズ・サンペールは『欲望の旅路』によって一流のポルノ作家の系譜に名を連ねた。人間の欲情とあらゆる快楽を、うわべだけの恥じらいを見せず、どぎつくなく書ける女流作家の一人としてである。
セックスについて本当にすべてが書きつくされているだろうかーフランソワーズ・サンペールという作家は、この疑問から出発する。彼女はポルノ小説のプロットをがらりと変えることによって、まだまだ人々に感動を与えることができると確信している作家だ。
第一作目の『電話で話す若者』のストーリーは、単純至極である。主人公の若者は町中で中年女を見かけ、美しい人だと思った。
中略
彼女に電話して、不器用にこう言う。「ぼくはあなたにあなたのあらゆる快楽をことこまかにかたってほしいのです」、彼女は気を悪くしなかった。中略
おたがいに見知らぬ者同士であったが、この電話が二人の得も言われぬゲームのきっかけとなった。中略
このポルノ小説では主人公の彼と彼女は一度もセックスをしたことがないし、お互い裸を見たことさえない。それなのに言葉だけでエロチックな瞬間を生きることができたし、相手の素性が神秘的なままであるだけに、エロチックな瞬間がいっそう強烈なのだ。
今度は電話ではなく、Eメールのやり取りになる。彼女は世界旅行へ出立し各国々で知り合った男たちとの快楽をEメールで細大洩らさず報告する。若者はそれを読んで興奮する。一種ののぞき見的なポルノ小説といえる。
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