Wednesday, 20 July 2022

ウクライナの穀物輸出代替ルートとしてのUkraina-Moldova-Galati (Romania)経由コンスタンツァ港

Ukraine-Moldova-Galati(Romania)穀物輸出ルート、5月頃だったか、ルーマニア運輸大臣のコメントのとおり、Galati駅の広軌鉄道をリハビリしている映像が後半にある。つまり、既に予算化されていたということなのか、当然ながらG7でも協議されたトピックであろう。

Galatiはドナウ河川港を有し、ルーマニアの最東部の町で、モルドバの国境を接し、ドナウ川のGalati河川港までソ連時代に広軌鉄道が延伸敷設され、ドナウ水運(内航水運)への積替えポイントとなっていた。しかし、ソ連邦崩壊とともにその役割を終え、放置され朽ちていったかにみえた。

今回のロシアのウクライナ侵攻により、オデッサ港やミコライエフ港等の主要港湾が封鎖(ウクライナが機雷を敷設)されている状況下、ポーランドルート(鉄道)とともにウクライナ穀物輸送の代替案の重要なルート(オデッサ港やミコライエフ港封鎖が解除されるまで)として着目され、重要な代替ルートとして位置付けられた。

このルートはウクライナから広軌鉄道でモルドバを経てGalati港へ、そこでドナウの内航水運に積替え、ドナウ川を下り黒海へ出るか、ドナウを上り、ドナウ黒海運河経由で黒海のハブ港であるコンスタンツァ港への輸送ができる。

Galati港の下流にReni港・Ismail港(ウクライナ)があるが、鉄道接続はなく(そう見える)、現状、トラックが2000台待ち、道路1本、バージへの積替がネックになっている。また、コンスタンツァ港の積替設備の容量不足で急遽増設中とのこと。なお、日本政府は1998年にコンスタンツァ南港のコンテナターミナル整備に円借款を供与し、移行期の東欧経済を支援している。https://www.jica.go.jp/oda/project/ROM-P1/index.html

ソ連邦時代の輸送インフラが冷戦の崩壊とともに経済的合理主義の下、朽ち捨てられ、30年を経て日の目を見ることになろうとは、誰が想像しただろうか?ヤードがそのまま手付かずであったことが幸いした、むやみやたらに再開発をするものではない。

機関別の輸送容量は、鉄道65t/輌x30輌=1950t、トラックは40ftコンテナで48t/台(最大)、内航水運はバージを連結し3000t/バージx6艀まで(ドナウ黒海運河も)、鉄道からバージへの積替が容量的に大きい。トラックだと河川港までのアクセスが、この地域、道路状態は良好ではない。
 
河川港の容量はウクライナの輸出量の5%未満なので限界があり、ウクライナには2500万トンほど未輸出穀物(オデッサ港)があり、更に、今は収穫期で今季の穀物が産出されるので、オデッサ港、ミコライエフ港の復活が急務。
 

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