Wednesday, 18 August 2021

目黒川の洪水対策と目黒川船入場調節池

昨日8/15にNHKはこの目黒川の動画を他の九州や広島の豪雨による河川氾濫と横並びで氾濫危険水位(青葉台観測所で267㎝を超えたのだろう)を超え溢れそうだと7時と9時のニュース等で報道、それゆえ友人知人から大丈夫かと連絡をいただいたので、現状を説明します。ちなみに私の住まいは目黒川沿いではなく目黒台地の上、目黒川沿いの標高より20m以上高い。

NHK 目黒川水位上昇

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210815/k10013203541000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001

この動画は視聴者がスクープBOXに投稿したもので中目黒の駒沢通りからやや下流の船入場橋から午前6時半頃に撮影したものと判断される。右側に映っているのが目黒川船入場でこの地下に調整池がある。

都市河川の特徴は流域市街地の流出係数が高いので雨が降ると直ぐに排水されてしまい下流域の河川で洪水となりやすい、一方、直ぐに水位は低下する。

船入場調節池

目黒川は過去に氾濫が多く、1990年に船入場調節池を国隋対策施設として建設、55,000立方メートルの調整機能を持つ。高水位を超えると自動的に調節池に水が流れ込む仕組みになっている。映像では水流が高水位を超えて調節池へ流入しているようにも見える。

また、ここから河川幅が広くなる構造(断面が広くなるため下流へ流れやすい)。時間当たり50㎜の降雨強度で護岸が設計されているので通常は問題はない(昨今、時間100㎜超という降雨もある)、2016年までに9回の調節池への流入がある。

下流の荏原調節池(荏原市場跡地)は同様な目的で2002年に供用開始、200,000立法メートルの調節機能を持つ。このように既に洪水対策施設が機能しており、簡単に目黒区内で目黒川が氾濫するとは考え難い。

NHKは単に溢れるだけではなくどのようにして溢れるのか、都市河川の特徴等を予習したうえで報道したほうがよい。それと目黒川以外、昨日は報道されなかったが目黒川と同じような都市河川が都内にはあるが、報道のトリガーに触れなかったのだろう。町田市で豪雨とのニュースを聞いたが鶴見川でも水位がかなり上がったのではないだろうか。

この撮影場所下流の田楽橋での水位は8/15 6:30に291cm(この時に氾濫危険水位267㎝を超えたのであろう)、その後、7:30に147cm、8:30に104cmと水位は低下したとの記録がある。

青葉台観測所(東京都)

https://www.kasen-suibo.metro.tokyo.lg.jp/im/uryosuii/tsim0106g_2B16.html

氾濫危険水位 267㎝

洪水発生水位 467㎝

国土交通省 川の防災情報

https://www.river.go.jp/kawabou/mb/tm?zm=15&clat=35.6441667&clon=139.7177217376953&fld=0&mapType=0&viewGrpStg=0&viewRd=1&viewRW=1&viewRiver=1&viewPoint=1&ofcCd=3329&itmkndCd=4&obsCd=3 

目黒川流域河川整備計画

https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/temporary/content3/000038913.pdf

目黒川船入場調節池

https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000046134.pdf

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