Friday 23 September 2022

森英恵のグッバイバタフライ

 森英恵、先月8月11日に96歳でお亡くなりになった。2004年7月のオートクチュールコレクションを最後に引退されたが、それ以前に会社の倒産(2002年)などのニュースは認識していた。

表参道のハナエ・モリビル(丹下健三設計、1978年竣工)はランドマークになっていたし、旦那が愛知県一宮市出身で実家が繊維会社というのも気になっていた。戦後の復興期から高度経済成長期に世界の檜舞台へ進出し、日本人唯一のサンディカ(haute couture)会員(1977-2004)、長年活躍されてきたので回顧録があれば読もうと思っていたところ、ぼんやりしている間にお亡くなりになってしまった。幸い2010年に書かれた回顧録的な内容「グッバイバタフライ」があり買おうとしたが在庫切れ、古本は法外なお値段に、それで図書館に頼った、数人待ちで順番が回ってきた。森英恵というファッションデザイナーだけに限らず、当時の世相や顧客、モデルなどなど、モデルの中では森英恵がピエール・カルダンに紹介した松本弘子、自らのモデルに採用した入江美樹(現在の小澤征爾夫人)、が時代的に私の知らない世界の描写が多くて興味深かった。また服飾用語はネットで調べつつ楽しく読んだ。

1996年に夫の森賢が亡くなったが、森英恵の活動を精神面と経営面から支えていたからこそ、全てに前向きな点が二人三脚のようだった。そして会社のマネージメント、お亡くなりになってから経営が傾いたと別の記事で読んだ。

図書館で主要国の新聞を捲っていたら、8/19付けNYタイムズが1面を割いて追悼記事を掲載していた、これは森英恵の初NY滞在時(この時にワンダラーブラウスと歪なマダム・バタフライを経験)に最初にインタビューした新聞社だからか(和服のデザイナーだと勘違いした)、その後の米国活躍の賜物か、紙面を捲っていて記事の紙面の割き方に驚いた。

母よりも一回り上の年代は、終戦時に成人、多種多様な競争社会を生き抜いてきた印象が強い、それで余計に文字情報からででも垣間見られればと、特に成功者の、思ったのだ。本は1/3ほど残っている、返却しないといけないのだ、順番待ちの方がいるので。怠け者なので、読むにも集中力が必要で、気分的に上手くいかないことが多いので買って手元に置きたくなる。




松本弘子

松本弘子

入江美樹

New York Timesの記事

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